肩までお湯につかる入浴を中心とした温泉療法は日本特有のもので、ヨーロッパでの温泉療法は主に飲用によるものや吸入、部分浴、足浴、歩行、水泳等の水中運動という形で利用されています。
温度も日本の温泉のように熱い湯に裸で入るというものではなく、温水プールのように水着着用の場合が多く、温度も低めです。
医師の指示に従って一定量の鉱泉水を飲んだり、決められた時間だけ湯につかり、シャワーを浴びながらマッサージを受けたりする温泉治療です。
温泉のことを、ドイツでは「バート」、フランスでは「バン」、イタリアでは「テルメ」、ベルギーでは「スパ」といいます。
日本でも使われている「クアハウス」はドイツ語で温泉保養地における療養センターのことを意味しています。
炭酸泉の噴出が多く、温泉治療としても有名なドイツには多くの温泉地があります。
その中でも有名な「バートナウハイム」は、30度以上の温水を保ちながら高濃度炭酸泉が出ることで知られる世界有数の温泉療養地です。天然泉を循環器疾患の治療に使用していて、その歴史は100年と古くから行われてきました。
「バーデン・バーデン」は南ドイツの黒い森「シュヴァルツヴァルト」地方にある温泉地です。
ドイツ語でバーデンというのは「水浴びをする、お風呂に入る」という意味で、西暦70年頃にローマ人が痛風に悩む患者用の2つの湯治場を作ったのが始まりといわれています。
日本の温泉とは違い、公衆浴場「カラカラ・テルメ」は温水プールのようで、ぬるいお湯に水着で入ります。
チェコには「天然医療泉」と呼ばれる温泉が37ヵ所程あり、医療目的での利用が中心となっています。
その中でも最も有名な「カルロヴィ・ヴァリ」は炭酸泉としても有名な温泉地で、首都のプラハからも近く美しい街並みがあることから、温泉治療の方のみならず観光のポイントともなっています。
14世紀に神聖ローマ帝国の王カレル4世が狩りの最中にこの良質な源泉を発見したという伝説が伝えられています。
19世紀になると王族や貴族以外にも、ゲーテ、トルストイ、ベートーベンやショパンなども訪れたとして、人気の温泉地です。
美しい山々に囲まれているスイスでは、温泉や鉱泉が豊富で、250種類もの鉱泉があり、多くの温泉地が点在しています。
その中でも、アルプスでのスキーと温泉が両方楽しめるのが「サン・モリッツ」です。
19世紀ヨーロッパでは、上流階級の間で温泉療養に行くことが流行となり、温泉は社交場とされていたことがありました。
ここもその一つで美しい湖と山々に囲まれたスイスの高級リゾート地として多くの人が訪れています。
フランスには100ヶ所程の温泉があります。19世紀以降、専門医のいる温泉病院や医療施設を備える温泉地として急速に発展してきました。
最近では医療のほか温泉を利用したエステティックやリラクゼーションにも力を入れるようになってきています。
ミネラルウォーターでも有名な「ヴィシー」はローマ時代から温泉地として知られ、特に飲用治療が有名な温泉地です。
昔から王族や貴族達の間で人気のあったヴィシーには温泉・冷泉を含む14の源泉が湧き出ています。
“スパ”の語源ともなった町「スパ」は、首都ブリュッセルから東へ130km程のベルギー南東部にある豊かな自然に囲まれた温泉地です。
ローマ時代からの古い歴史を持ち、専門医の処方によって温泉療養をするというヨーロッパの典型的な温泉地で、症状に合わせて療養の色々なコースがくまれています。
街の中心部に位置する「テルム・ド・スパ」が温泉施設として有名です。
この地域の水は飲用効果も高いとして「スパの水」として世界的に販売されています。
台湾の温泉は100ヶ所程あるといわれています。
「烏来温泉(うーらいおんせん)」は台北から車で1時間程の台北南部の山あいの温泉地です。
原住民・環境保護地区に指定されていて、南勢渓のヒスイ色の川に沿った大自然の中にあります。
無臭、無色透明の弱アルカリ性炭酸泉で別名「美人の湯」と呼ばれて、手軽な宿泊施設から高級リゾート旅館までと幅広く、台湾の若者にも人気の場所です。
中心地の温泉街は旅館や土産物屋が並び、昔の日本の温泉地のような懐かしい街並です。